ピタゴラ数の性質
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2023.07.05


 ピタゴラス数とは a2b2c2 を満たす3つの自然数の組 { a, b, c } のことです。
 ピタゴラス数のうちの最大でない2つの自然数の積 ( ab ) は 12 の倍数になっています。
 そのことを証明してみましょう。

 証明の方法は背理法です。「 a かつ b は3の倍数ではない。」 かつ 「 a かつ b は4の倍数ではない。」という仮説を立てて、これを否定していきます。
 そのためには、合同式( MOD )を用います。合同式では、3の倍数でない自然数は 1 または 2 であり、4の倍数でない自然数は 1 または 2 または 3 です。

 まず、「 a かつ b は3の倍数ではない。」ことを否定してみましょう。
 そう仮定すると、a2b2 のパターンは次のようになります。
   1×1 =→ 1
   2×2 =→ 1
つまり、3で割り切れない自然数の2乗は3で割ると1余る数になるということです。
 したがって、a2b2 のパターンは次のようになります。
   1+1 =→ 2
 一方、c2 のパターン次のようになります。
   0×0 =→ 0
   1×1 =→ 1
   2×2 =→ 1
 というわけで、「 a かつ b は3の倍数ではない。」と仮定すると矛盾が生じることが分かりました。したがって、仮説は否定されました。つまり、 a または b は3の倍数であることが分かりました。

 次に、「 a かつ b は4の倍数ではない。」ことを否定してみましょう。
 そう仮定すると、a2b2 のパターンは次のようになります。
   1×1 =→ 1
   2×2 =→ 0
   3×3 =→ 1
つまり、4で割り切れない自然数の2乗は4で割ると 割り切れる数か または 1余る数 になるということです。
 したがって、a2b2 のパターンは次のようになります。
   0+0 =→ 0
   0+1 = 1+0 =→ 1
   1+1 =→ 2
 一方、c2 のパターン次のようになります。
   0×0 =→ 0
   1×1 =→ 1
   2×2 =→ 0
   3×3 =→ 1
 したがって、a または b は4で割ると2余る数であることが分かります。ということは、 ab の組み合わせは次の3パターンになります。
   @ 4で割ると2余る数( 4m+2 ) と 4で割ると1余る数( 4n+1 )
   A 4で割ると2余る数( 4m+2 ) と 4で割ると2余る数( 4n+2 )
   B 4で割ると2余る数( 4m+2 ) と 4で割ると3余る数( 4n+3 )
@ について
 c2 は奇数になるから、c は奇数なので、c = 2k+1 と置きます。
 c2a2b2 は次のように表されます。
   4k2+4k+1 = ( 16m2+16m+4 ) + ( 16n2+8n+1 )
   よって、 k(k+1) = 2( 2m2+2m+2n2+n ) + 1
   左辺は偶数だが 右辺は奇数であり、この式は矛盾します。
A について
 c2 は偶数になるから、c は偶数なので、c = 2k と置きます。
 c2a2b2 は次のように表されます。
   4k2 = ( 16m2+16m+4 ) + ( 16n2+16n+4 )
   よって、 k2 = 4( m2+m+n2+n ) + 2
   左辺は4で割り切れる数だが 右辺は4で割ると2余る数であり、この式は矛盾します。
B について
 c2 は奇数になるから、c は奇数なので、c = 2k+1 と置きます。
 c2a2b2 は次のように表さまする。
   4k2+4k+1 = ( 16m2+16m+4 ) + ( 16n2+24n+9 )
   よって、 k(k+1) = 2( 2m2+2m+2n2+3n+1 ) + 1
   左辺は偶数だが 右辺は奇数であり、この式は矛盾します。
 というわけで、「 a かつ b は4の倍数ではない。」と仮定すると矛盾が生じることが分かりました。したがって、仮説は否定されました。つまり、 a または b は4の倍数であることが分かりました。

 以上より、「 a または b は3の倍数である。」 かつ 「 a または b は4の倍数である。」ということが証明されました。ということは、ab は 12 の倍数になっているということです。