n 個の異なる自然数からなる順列があります。 順列のすべての場合の数は n! です。
以上の順列の あるケース から 他のケース への対応を n 次置換 と言います。
例えば、1〜5の自然数の順列 ( 1 2 3 4 5 ) から ( 2 5 3 1 4 ) への対応を考えます。
これは次のように書かれます。

これは 5次 置換 です。
さて、 n 次 置換は、 m 次 恒等置換 と (n−m) 次 巡回置換 とに分解することができます。 恒等置換は無置換です。
たとえば、 上記の 5次 置換 は次のようになります。

は 4次の 巡回置換 です。 下図のように交換が循環しているからです。

2次の巡回置換のことを 「 互換 」 と言います。
(n−m) 次の巡回置換は (n−m−1) 回の互換で表されます。
例えば、 巡回置換

は次のように分解されます。
まず、 1 と 2 の互換、 次に 1 と 5 の互換、 最後に 1 と 4 の互換です。
1 2 * 4 5 ・ ・ ・

↓
2 1 * 4 5 ・ ・ ・

↓
2 5 * 4 1 ・ ・ ・

↓
2 5 * 1 4 ・ ・ ・

の互換を [1,2] と表し、

の互換を [1,5] と表し、

の互換を [1,4] と表すことにします。
すると、 上記の3回の連続する互換は次のように表されます。
[1,4][1,5][1,2]
これは、 互換の合成を表しています。
さて、 巡回置換

を次のように書くことにします。
[1,2,5,4]( 1 2 3 4 5 ) =→ ( 2 5 3 1 4 )
最初の [1,2,5,4] は 巡回置換演算子です。 上記の巡回置換は、1 のある場所は 1 を捨てて 2 を獲得し、 2 のある場所は 2 を捨てて 5 を獲得し、 5 のある場所は 5 を捨てて 4 を獲得し、 4 のある場所は 4 を捨てて 1 を獲得する 演算を表します。
恒等置換の演算は [ ] で表すことにしましょう。
巡回置換

は次のようにも書くこともできます。
[1,4][1,5] [1,2]( 1 2 3 4 5 ) =→ ( 2 5 3 1 4 )
[1,2,5,4] = [1,4][1,5] [1,2] です。
置換の合成についてさらに詳しく見ていきましょう。
考えやすくするために、これからは3次置換にします。
3次置換には次の6とおりの置換があります。
1 : [ ]( 1 2 3 ) =→ ( 1 2 3 )
2 : [1,2,3]( 1 2 3 ) =→ ( 2 3 1 )
3 : [1,3,2]( 1 2 3 ) =→ ( 3 1 2 )
4 : [2,3]( 1 2 3 ) =→ ( 1 3 2 )
5 : [1,3]( 1 2 3 ) =→ ( 3 2 1 )
6 : [1,2]( 1 2 3 ) =→ ( 2 1 3 )
[1,3][1,2]( 1 2 3 ) =→ [1,3]( 2 1 3 ) =→ ( 2 3 1 ) =→ [1,2,3]( 1 2 3 )
[1,2][1,3]( 1 2 3 ) =→ [1,2]( 3 2 1 ) =→ ( 3 1 2 ) =→ [1,3,2]( 1 2 3 )
よって、 [1,3][1,2] ≠ [1,2][1,3]
交換法則は成り立っていません。
[1,2,3][1,3][1,2]( 1 2 3 ) =→ [1,2,3]( 2 3 1 ) =→ ( 3 1 2 ) =→ [1,3,2]( 1 2 3 )
{ [1,2,3][1,3] } [1,2] ( 1 2 3 ) =→ { [1,2,3][1,3]( 1 2 3 )} [1,2]
=→ { [1,2,3]( 3 2 1 )} [1,2] =→ ( 1 3 2 ) [1,2]
=→ { [2,3]( 1 2 3 )} [1,2] =→ [2,3][1,2]( 1 2 3 )
=→ [2,3]( 2 1 3 ) =→ ( 3 1 2 ) =→ [1,3,2]( 1 2 3 )
よって、 [1,2,3][1,3][1,2] = { [1,2,3][1,3] } [1,2]
このケースでは、結合法則が成り立っています。
[ ][1,2]( 1 2 3 ) =→ [ ]( 2 1 3 ) =→ ( 2 1 3 ) =→ [1,2]( 1 2 3 )
[1,2][ ]( 1 2 3 ) =→ [1,2]( 1 2 3 ) =→ ( 2 1 3 ) =→ [1,2]( 1 2 3 )
したがって、 恒等置換 [ ] は単位元です。
[1,3,2][1,2,3]( 1 2 3 ) =→ [1,3,2]( 2 3 1 ) =→ ( 1 2 3 ) =→ [ ] ( 1 2 3 )
[1,2,3][1,3,2]( 1 2 3 ) =→ [1,2,3]( 3 1 2 ) =→ ( 1 2 3 ) =→ [ ]( 1 2 3 )
[1,2,3] と [1,3,2] は 互いに逆元の関係になっています。
以上の例で見てきたように、 置換は次の条件を満たしていて ( 証明されています )、 したがって、 置換 は 置換群 と言われています。
ある集合に関して、 次の4つが言えるとき、 この集合を
群 と言う。
1. 集合の要素の間にある演算が成り立ち、 その演算に関して集合は閉じている。
2. その演算に対して、 結合則が成り立つ。
* 結合則とは、a ◎( b ◎ c )= ( a ◎ b ) ◎ c
3. その演算に単位元が存在する。
4. その演算に逆元が存在する。
単位元とは、 演算をする側に回ったとき、 演算をされる側の要素と等しい演算結果になり、 かつ、 演算をされる側に回ったとき、 演算をする側の要素に等しい演算結果になる要素のことである。
逆元とは、 ある要素が演算をする側に回り自分が演算をされる側に回ったとき、 その演算結果が単位元になり、 かつ、 その要素が演算をされる側に回り自分が演算をする側に回ったとき、その演算結果が単位元になる要素のことである。
群 では、集合の要素が数や物質など以外に演算子も含まれます。
群の乗積表 : * 第1行の第2列〜第7列は かけられる元、 第2行〜第7行の第1列は かける元
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1 : [ ] 2 : [1,2,3] 3 : [1,3,2]
4 : [2,3] 5 : [1,3] 6 : [1,2]
結合法則は成り立っているか? 確かめてみましょう。
( 例 )
4 ◇ 3 ◇ 2 =→ 4 ◇ 1 =→ 4
( 4 ◇ 3 ) ◇ 2 =→ 6 ◇ 2 =→ 4
5 ◇ 2 ◇ 6 =→ 5 ◇ 5 =→ 1
( 5 ◇ 2 ) ◇ 6 =→ 6 ◇ 6 =→ 1
※ 参考:
大学生のための数学 > 論理学 > 群とは
大学生のための数学 > その他の数学 > 正三角形の対称群