(1)完全非弾性正面衝突
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無重力真空空間における、 完全非弾性衝突( 全く跳ね返りの無い衝突 )をイメージしてください。 一直線上を向かい合う方向に等速直線運動( 静止を含む )している2つの物質があります。 それらは正面衝突をして、 一塊になります。 その後、 その塊は、 衝突する前に運動量( 質量 × 速度 )の大きかった方の物質の運動方向に等速直線運動を行います。
これから、 次のような4つの完全非弾性正面衝突のケースを考えます。


衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :

ここで問題です。 以上の


のケースの衝突を衝突によって減少した運動エネルギーの大きい順に並べてください。答えは、
、
、
、
の順 です。 ちなみに、衝突によって減少した運動エネルギーの大きさは、衝撃による破壊力の大きさを表すものではありません。※ 参照: 大学生のための物理学 > 力学 > 衝撃の程度を表す衝突重量力
さて、 これから、


を、 それぞれ、 右向きに速さ
で等速直線移動している観察者の観察に変更してみましょう。

衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :



衝突の前後で変化しない運動量の総和 :

衝突前の運動エネルギーの総和 :

衝突後の運動エネルギーの総和 :

衝突後に増加した運動エネルギー :

と
、
と
、
と
、
と
が、 それぞれ対応しています。 同じ現象を、 第3者的に観察したのか、 左側の物質の立場に立って当事者的に観察したかの違いです。 これらの対応で共通する点は、 衝突の前後では運動量の総和は変化しないということと、 衝突の前後で減少する運動エネルギーです。
将棋をしている 自分( 第1者 )と 相手( 第2者 )がいます。 第3者は対局者( 当事者たち )よりも手が良く見え、 8手先まで見えます。 これを、
「 おかめ八目( 傍目八目 )」と言います。 でもプロは違います。


の観察よりも、 

の観察の方が、 左側の物質が受ける衝突の強さを実感しやすいです。 衝突してくる物の運動エネルギーの大きさが教えてくれるからです。 なぜなら、 衝突される物の立場に立って観察しているからです。「 観察する物の立場に立って観察する 」ためには、 観察者が観察する物と同じ速さで移動していなければなりません。 第3者が「第2者が第1者をどのように見ているのか?」を知ろうとすれば、 第3者は第2者の立場に立たなければならないのです。 これは相対性理論の哲学の最も大切なところです。完全非弾性衝突では、 運動量は保存されるものの、 運動エネルギーは保存されません。 それは衝突によって一部が熱エネルギーや音のエネルギーに変化するためです。 無重力真空空間では熱は放散されませんので、 結局、 非弾性衝突した物質たちの温度が上昇することになります。 完全非弾性衝突では、 運動エネルギーは保存されませんが、 総エネルギーは保存されます。
相対性理論の世界では、 物質の持つ熱エネルギーは、 静止質量 と 質量 に反映され、 物質の持つ運動エネルギーは、 静止質量には反映せずに質量にのみ反映されますので、 完全非弾性衝突により、 質量 = エネルギー は保存されるが、 静止質量は保存されないとします。 相対性理論の世界では、 質量( エネルギー )= 静止質量 + 運動エネルギー なのです。( さらに、 量子力学では、 エネルギー = 質量 + 電磁波 となります。)
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