世界地図ではソ連が実際以上に広く描かれています。 メルカトル図法という、 球を円筒に投影する手法が用いられているからです。 メルカトル図法では、 緯度が大きくなればなるほど地球儀の面積より拡大して描かれるようになります。 世界地図の日本の面積が地球儀の日本の面積に等しいと仮定すると、 世界地図のソ連の面積は地球儀のそれよりも約 3倍 広くて、 赤道付近にあるインドネシアの世界地図の面積は地球儀のそれよりも約 3分の2倍 狭くなっています。


アメリカ大陸を含む本格的な世界地図が最初に発行されたのは、 1538年で、 フランドル( 現ベルギー )生まれの天文学者 メルカトル によるものでした。 当時の世界地図は大航海のための「 海図 」だったということです。 このころは宗教改革のまっさだ中で、 近代市民社会への過渡期である絶対主義が確立されつつある時代です。 十字軍、 百年戦争、 ペスト大流行 の「 暗黒の中世 」から、 ルネサンス、 火薬・羅針盤・活版印刷の三大発明、 大航海時代へと時代が移り変わったころのことです。
メルカトル図法は、正軸接円図法の中の正角円筒図法であり、赤道の長さを1として、横方向にも縦方向にも 1 / cos ( 緯度 )倍 しています。 角度が保たれた図法です。目的地へ正確に向かう航海のためには、角度が最も重要だったのです。
地図上のすべての地点で角度が保たれているとは、すべての地点において南北方向と東西方向が直交していることを言います。しかし、地球は球形ですから、ある地点において南北方向と東西方向が直交していても、その地点から遠く離れた緯度が等しい所は、その地点から真東の方位( 方角 )にはなりません。
地球儀を平面図で表すとき、面積、距離、方位、角度 のすべてを正しく表すことはできません。 中心からの方位と距離が保たれた図法は、正距方位図法と言われます。 楕円形をしていて面積が保たれた図法は、正積擬円筒図法(モルワイデ図法)です。長方形をしていて面積が保たれた図法は、正軸接円図法の中の正積円筒図法(ラムベルト図法)です。ラムベルト図法では、横方向は 1 / cos ( 緯度 )倍 に拡張され、縦方向は cos ( 緯度 )倍 に縮小されています。
メルカトル図法では、赤道付近のみ 面積・距離・方位・角度 すべて正しく表示されています。 横メルカトル図法では、中央の経線周辺のみ 面積・距離・方位・角度 すべて正しく表示されています。
※ 参照: 大学生のための数学 > その他の数学 > 面積誤差の少ない世界地図
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