固有ベクトルの複素平面への拡張
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2014.01.19


2次元平面上の原点を中心とする半径 の円の円周上に次のような点P があります。
     
そして、 点P に次のようなベクトルが与えられているベクトル場があります。
     
これに対して次のような表現行列を持つテンソルを作用させます。
     
  すると、 は、 点P を起点としたまま、 また、 その大きさを保ったまま、 起点を回転中心として時計回りに ラジアン回転したベクトル に変換されます。 このようなベクトル場の写像を考えます。

  次に、 これに似た写像を考えます。 反時計回りに ラジアン回転させるという写像です。 は、 点P を起点としたまま、 また、 その大きさを保ったまま、 起点を回転中心として反時計回りに ラジアン回転したベクトル に変換されます。
上記のテンソルに を代入すると、 次のようになります。
    
  このテンソルは、 を点P を起点としたまま、 また、 その大きさを保ったまま、 起点を回転中心として時計回りに ラジアン回転したベクトルに変換するものになります。

  その次に、 最初の写像に戻って、 固有ベクトルと固有値を求めてみましょう。
答えは、 次のようになることは明白ですね。
    「  のときにのみ固有ベクトルが存在し、
     固有ベクトルは で、 固有値は である。 」

固有値を とすると、 固有値を求める公式は次のようになります。
     

  のとき で、 それ以外のときは は複素数になりますので、 固有ベクトルは存在しないことになります。

  さて、 これを、 複素数の固有値も認めて、 複素平面上の円の円周上の点に与えられたベクトル場であるというふうに拡大しますと、 次のようになります。
     
また、 複素平面に拡大されたこの写像は、次の式で表されます。
     
したがって、
     
  したがって、 複素数に拡大されたこの写像については、 全ての複素平面上の円の円周の点に与えられた複素ベクトルは、 固有ベクトルであり、 その固有値は であるということができます。 したがって、 複素平面におけるベクトルの2乗回転は、 普通の平面におけるベクトルの2倍伸展化に相当するものであることが解ります。