与えられた正方行列 A に対して、正則行列 P をうまく取ってきて P−1 A P を対角行列にする操作を対角化と言います。
対角化は、線形写像の作用を、固有空間へのスカラー倍(固有値)として表現することに相当します。対角化された行列の対角成分には、元の行列の固有値が並びます。
思考簡単化のため、 二次元直交座標系とします。 2つの基底の順列を
とします。(1) ベクトルの写像を担う演算テンソルの座標変換
-
ベクトルを行列で表すことにします。
は
で表します。 これを「 ベクトルの表現行列 」と言うことにし、( v )という記号で表すことにします。ベクトルの写像を担う演算子を「 演算テンソル 」と言うことにし、 演算テンソルを表す行列を「 演算テンソルの表現行列 」と言うことにし、( st )という記号で表すことにします。 また、 ベクトルの座標変換を担う演算子を「 座標変換テンソル 」と言うことにし、 座標変換テンソルを表す行列を「 座標変換テンソルの表現行列 」と言うことにし、( ct )という記号で表すことにします。
ベクトルの写像は次の行列の積によって求めることができます。
( v' ) = ( st )( v )
新たな座標系の基底の順列を
とします。
と
とは直交しなくてもかまいません。 ということは、 直交座標系から斜交座標系への座標変換を考えようとしているわけです。
としますと次のようになります。
ベクトルの座標変換は、 次の行列の積によって求めることができます。
( v' ) = ( ct )( v )
「 演算テンソル 」の座標変換は、 次の行列の積によって求めることができます。
( st' ) = ( ct )( st )( ct )−1
-
演算テンソルの大きさ 1 の 固有ベクトル を新座標系( 固有空間 )の基底にすると、 座標変換後の演算テンソルの表現行列は 対角行列 になります。 これを行列の変換にスポットを当てると 「 行列の対角化 」 ということになります。
※ 対角行列とは、それ自身の転置行列がそれ自身に一致する正方行列のことです。
例として、 これから次の演算テンソルを対角化してみましょう。

固有値を λ とすると、 次の式が成り立ちます。

よって、

λ = 2 のとき

このとき大きさ 1 の 固有ベクトルは次のようになります。

λ = 3 のとき

このとき大きさ 1 の 固有ベクトルは次のようになります。

ちなみに、大きさ1 の2つの固有ベクトルの内積は0ではないので、2つの固有ベクトルは直交していないことが分かります。

上記の 大きさ1 の2つの固有ベクトルのベクペア( 私の造語 )の表現行列 を 演算テンソル
の 「 対角化行列 」 と言います。対角化行列の逆行列を表現行列とするテンソルは、固有ベクトル空間への座標変換テンソルになっています。
座標変換テンソルは次のようになります。
したがって、 それぞれの大きさが 1 の固有ベクトルの座標変換は次のようになります。

上記の式たちは、 大きさが 1 の固有ベクトルたちは座標変換によって新座標系の基底に変換されることを表しています。
では、 いよいよ
を対角化してみましょう。
固有値の 2 と 3 がスカペア( 私の造語 )になっていることに注目してください。
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