(1) 複素数と行列
の共役複素数は
です。複素数の大きさは次のように定義されています。









のとき、
を 「 対称行列 」 といいます。 対称行列は次のように表されます。
のとき、
を 「 エルミート行列 」 といいます。 エルミート行列は次のように表されます。
エルミート行列は、 対称行列を複素数に拡大したものです。
-
ユニタリー行列は、 直交行列を複素数に拡大したものです。 ユニタリー行列の典型例は、 次のように表されます。

これから、 このユニタリー行列の随伴行列は、 逆行列に等しいことを示します。

したがって、
です。表現行列がこのユニタリー行列になっている演算テンソルは、 ベクトルの大きさを変えません。 その理由は次のごとしです。


直交行列のところで述べたように、 等長変換を担う演算テンソルの固有値の絶対値は
です。このユニタリー行列の行列式は、 次の式が示すように、
です。
さて、

したがって、 次の式が成り立ちます。

このような関係があるとき、
を正規行列といいます。 したがって、 ユニタリー行列は正規行列です。-
量子力学で物理量を表す演算子の表現行列はエルミート行列で、 その固有値は実数です。 演算テンソルの表現行列が 対称行列 または エルミート行列 のときは、 その固有ベクトルは直交します。 量子力学では、 大きさ
の固有ベクトルは、 多次元の基底の要素となる基底波動関数に相当します。ユニタリー行列を表現行列とする演算テンソルは、 直交行列を表現行列とする演算テンソルと同様、 直交座標系から直交座標系への等長変換を担います。 これをユニタリー変換と言います。 ユニタリー変換は、 写像ではなく座標変換です。 ユニタリー変換を用いると、 エルミート行列を表現行列とする演算テンソルを固有ベクトル空間に座標変換して、 演算を簡単にすることができます。
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