第2章  変速度運動も相対的なものである。


 「 物質の空間移動 」は、「 物質 」と「 観察者 」の2つで構成されます。「 物質 」の移動 と「 観察者 」の移動 とは、「 慣性系 」においては相対的なものです。 相対的であるという1つ目の意味は、「 どっちが移動していて、 どっちが静止しているのか? 」ということは区別がつかないし、 そういうことは物質の空間移動にとってはどうでもいいことだ、 ということです。 この事実は「 『 絶対的静止 』 は存在しない。」とも表現されます。 2つ目の意味は、 観察される物質が観察者になり、 観察者が観察される物質になった場合、 物質 と 観察者 が向かい合っていれば、 相手の移動の内容は全く同じものであるということです。
  こういった事実は、「 慣性系 」のみならず、「 変速度系 」においても成り立っています。 私は、 このような「 移動の相対性 」を、 次のように、 4つにまとめて、 それぞれ名前をつけています。


【 1 】 相対的等速度運動の公理

  物質A と 物質B がそれぞれ異なる速度で等速直線運動( 静止を含む )をしている。 このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 次の2つの命題はともに真である。
   1. 物質Aは静止していて、 物質Bは等速直線運動をしている。
   2. 物質Bは静止していて、 物質Aは等速直線運動をしている。
また、 このときの 物質A と 物質B の運動関係を、「 物質A と 物質B は相対的等速度運動をしている。」と言う。



【 2 】 相対的変速度運動の公理

  ロケットA と ロケットB が それぞれ異なる速度で等速直線運動( 静止を含む )をしていた。 突然、 ロケットAのみが変速度運動を開始した。 その後、 ロケットA または ロケットB の立場に立ってみると、 次の2つの命題はともに真である。
   1. ロケットBは静止していて、 ロケットAは変速度運動をしている。
   2. ロケットAは静止していて、 ロケットBは変速度運動をしている。
また、 このときの 物質A と 物質B の運動関係を、「 物質A と 物質B は相対的変速度運動をしている。」と言う。

    * コメント: 「 相対的変速度運動の公理 」は、「 運動関係 」について言ったもので、
           移動の方法まで考えた時には、 相対性が崩れる場合があります。 たとえば、
           ロケットエンジンなどにより「 自力変速度運動 」が行われる場合には、 相
           対性が崩れます。 なぜなら、 一方にのみ静止質量の減少が生じるからです。
           また、「 押し上げ変速度運動 」による場合にも相対性が崩れます。 なぜ
           なら、「 押し上げ変速度運動 」を被っている方は、 本人を「 重力固定者
           と認識し、 相手を「 落下中の人 」と認識するのに対して、 そうでない方は、
           本人を「 無重力状態 」と認識し、 相手を「 押し上げ変速度運動 」を被って
           いる人 と認識するからです。

            「 押し上げ変速度運動 」とは、 箱の中の物質が加速的変速度運動をす
           る箱の底から力を受けて、 箱と同じ変速度運動をすることです。
            「 重力固定物質 」とは、 地上に置いてある物質のように、 重力への反作
           用が働いて落下していない物質のことです。



【 3 】 一様等速運動付加の公理( 運動関係保存の第1法則 )

. 物質A と 物質B がそれぞれ異なる速度で相対的等速直線運動( 静止を含む )をしている。 それを、 物質Aに対して一定の速度 で移動している人 と 物質Aに対して一定の速度 で移動している人 とが観察したのでは、 2つの物質の速度が変わってくる。 ただし、 2つの物質とも等速直線運動( 静止を含む )をしているということは共通する。
   また、 このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通りの相対的等速度運動を続ける。( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)


. 物質A と 物質B が相対的変速度運動をしている。 それを、 物質Aに対して一定の速度 で移動している人 と 物質Aに対して一定の速度 で移動している人 とが観察したのでは、 2つの物質の速度が変わってくる。 ただし、 物質Aは等速直線運動をしており、 物質Bは変速度運動をしているということは共通する。
   また、 このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通りの相対的変速度運動を続ける。( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)



【 4 】 一様変速度運動付加の公理( 運動関係保存の第2法則 )

1−.  物質A と 物質B が相対的等速直線運動をしている。 この状態が2つの物質に対して
     変速度運動をしている観察者によって観察されると、 2つの物質とも同等の変速度運動
     をしていることになる。
      このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通
     りの相対的等速直線運動を続ける。 ( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)


1−.  物質A と 物質B が相対的等速直線運動をしている。 突然、 2つの物質に、 力が働
     き始めた。 その力は、 方向が同じで、 大きさが質量に比例する。( 一様な重力場は、
     物質に対してこのような力を及ぼす。) すると、 2つの物質は、 同等の変速度運動を開
     始する。
      このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通
     りの相対的等速直線運動を続ける。( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)


2−.  物質A と 物質B が相対的変速度運動をしている。 この状態が 物質A または 物質B
     に対して変速度運動をしている観察者によって観察されると、 2つの物質には、 同等の
     変速度が追加され、 変速度が変化したり消失したりする。
      このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通
     りの相対的変速度運動を続ける。( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)


2−.  物質A と 物質B が相対的変速度運動をしている。 突然、 2つの物質に、 力が働き
     初めた。 その力は、 方向が同じで、 大きさが質量に比例する。( 一様な重力場は、 物
     質に対してこのような力を及ぼす。) すると、 2つの物質には、 同等の変速度が追加さ
     れ、 変速度が変化したり消失したりする。
      このとき、 物質A または 物質B の立場に立ってみると、 物質A と 物質B は今まで通
     りの相対的変速度運動を続ける。( 物質A と 物質B の運動関係は不変である。)





第3章  光も変速度運動をする。


  第2章で述べた「 一様変速度運動付加の公理( 運動関係保存の第2法則 )」の中の 1−. と 1−. との区別ができないことを、「 等価原理 」と言っていいように思われますが、 しかし、 これだけでは不十分です。 何故かというと、 光の運動も区別できないということに触れられてないからです。

(1)思考実験その1: ボーリング場にて (2)思考実験その2: 落下運動

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