U. 斜交座標系の 双対ベクトル空間の間での 位置ベクトルの座標変換
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(1) 3次元斜交座標系における、 双対ベクトル空間の間での 基底の変換
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参考図 ( 2次元 )


3次元斜交座標系の中に、 次の3つのベクトルがあります。

ただし、 次の条件を満たしている。

* この条件の意味は、後述する 基底B (
の3つのベクトルの順序列 ) が 標準基底と双対基底の関係
になるためのもので、 「 双対基底条件 」 と私は言ってい
ます。 内積が
になる2つのベクトルは直交しています。
新しいベクトルの表現法では、 3つのベクトル
は次のようになります。


標準基底 ( 共変基底 ) を、 次のようなベクトリオで表すことにします。

反変基底B を、 次のようなベクトリオで表すことにします。

反変基底B は、 標準基底を用いて、 次のようなベクトリオでも表されます。

これを、 反変基底Bの 「 共変基底表示 」 と言うことにします。 そして、 反変基底Bの共変基底表示の表現行列を 「 双対テンソル
」 の表現行列ということにして、 次のように表します。
すると、 反変基底Bの 「 共変基底表示 」 は、 次のようになります。

したがって、

したがって、

以上より、 双対テンソル
が共変基底を反変基底に変換する関数 ( 演算子 ) であり、 基底変換テンソル
であることがわかります。 このことを、 「 双対テンソルは、 標準基底を、 それが生成するベクトル空間に相対する双対ベクトル空間を生成する反変基底に、 変換する、 関数である。」 と言います。-
ベクトルの表現方法には、 「 共変基底表示 」 と 「 反変基底表示 」 の2通りあります。 同一のベクトルを2通りの方法で表すわけです。 例えば、 3つのベクトル
を2つの表し方で表してみます。 上が共変基底表示 ( 反変ベクトル ) で、 下が反変基底表示 ( 共変ベクトル ) です。





ここで、 次の式が成り立っていることに注目してください。 これを注目Aとします。



位置ベクトル
について、 共変基底表示 ( 反変ベクトル ) ( 上 ) と 反変基底表示 ( 共変ベクトル ) ( 下 ) を示します。

を 「 反変成分 」 といい、
を 「 共変成分 」 と言います。 ベクトルは、 「 共変成分 」 と 「 反変基底 」 との組み合わせ、 または、 「 反変成分 」 と 「 共変基底 」 との組み合わせで表現されます。上の式たちは、 次のようにも書くことができます。

注目Aから推測することができますように、 「 反変成分 」 と 「 共変成分 」 には次のような関係があります。

したがって、次の式が成り立ちます。

この式は、 双対テンソル
の表現行列の逆行列を表現行列とする座標変換テンソル
を用いて次のように表すことができます。
したがって、 同一のベクトルを 「 元のベクトル空間座標系での表示 」 から 「 相対する双対ベクトル空間座標系での表示 」 へと変換するには、 元のベクトル成分に 「 双対テンソルの表現行列の逆行列を表現行列とするテンソル ( これが計量テンソルであることは、 後述します。)」 を作用させて変換すればよいことがわかります。 これは、 「 基底変換テンソル
である双対テンソル
。 その表現行列の逆行列を表現行列とするテンソルは、 座標変換テンソル
である。」 ということです。 同一のベクトルを 「 元のベクトル空間座標系での表示 」 から 「 他のベクトル空間座標系での表示 」 へと変換することを 「 ベクトルの座標変換 」 と言います。 ベクトルの座標変換は 「 座標変換テンソル 」 によって行われます。 「 共変基底表示 ( 反変ベクトル )」 から 「 反変基底表示 ( 共変ベクトル)」 への変換は、 「 あるベクトル空間におけるベクトル 」 から 「 相対する双対ベクトル空間におけるベクトル 」 への座標変換です。 座標変換は、
などで表される基底の変換とは異なります。 基底の変換は、 変換前後のベクトルは別のベクトルですが、 座標変換は変換前後のベクトルは同一のベクトルです。双対ベクトル空間の間での座標変換に限らず、 一般的に、 座標変換テンソル
は、基底変換テンソル
の表現行列の逆行列を表現行列とするテンソルです。 つまり、 座標変換テンソル
と 基底変換テンソル
との間には次のような関係があります。
基底の変換は、 次の式で表されます。

この式より、 「 共変基底は、 基底変換テンソル
によって反変基底へと変換され、 反変基底は、 基底変換テンソル
の表現行列の逆行列を表現行列とするテンソルによって共変基底へと変換される。」 ことがわかります。元のベクトル空間において、 標準基底 ( 共変基底 ) を用いて表されるベクトルは、 「 反変ベクトル 」 で、 その双対ベクトル空間において、 反変基底を用いて表されるベクトルは 「 共変ベクトル 」 です。 なぜなら、 相対する双対ベクトル空間へと座標変換されるときに、 共変基底と同様に、 基底変換テンソル
( 双対テンソル
) の表現行列と同じ表現行列を持つ座標変換テンソル
によって変換されるベクトルのことを 「 共変ベクトル 」 と言い、 反変基底と同様に、 基底変換テンソル
の表現行列の逆行列を表現行列とする座標変換テンソル
によって変換されるベクトルのことを 「 反変ベクトル 」 と言うからです。双対テンソル
は、 基底変換テンソル
であり、 また、 相対する双対ベクトル空間へのベクトルの座標変換を担う座標変換テンソル
とは逆演算の関係であり、 「 反変基底を用いて表されるベクトル ( 共変ベクトル )」 を 「 共変基底を用いて表されるベクトル ( 反変ベクトル )」 へと座標変換する座標変換テンソル
でもあります。共変基底 と 反変基底 とは、 お互いに双対基底です。 共変基底に相対する双対基底は反変基底であり、 反変基底によって生成されるベクトル空間に相対する双対ベクトル空間は、 共変基底によって生成されるベクトル空間です。
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