(1) 斜交座標系における、 双対ベクトル空間以外への量場的ベクトルの座標変換
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3次元斜交直線座標系における位置ベクトルは方向と距離の情報を持っていますが、 それは3つの方向に分解されてそれぞれの方向について距離を持ちますので、 位置ベクトルは3つの距離という情報を持ったものになります。 また、 速度も、 3つの方向における速さという情報を持ったものです。 それぞれの3つの方向におけるある量の情報を持ったものは、 3次元斜交直線座標系におけるベクトルです。 私は、 位置ベクトルを「 空間的ベクトル 」と言い、 速度 や 加速度 や 力 や ポテンシャル などのベクトルを「 量場的ベクトル 」と言って、 ベクトルを大きく2つに分類しています。
3次元斜交直線座標系における量場的ベクトル
の共変基底表示( 反変ベクトル表示 )を次のようにします。 共変基底表示( 反変ベクトル表示 )とは、 普通のベクトル表示のことです。
これから、 量場的ベクトルの反変ベクトル表示に共変基底の要素たちをそれぞれ内積させてみます。
まず、

または、


同様にして、


ここで、
や
や
を次の記号で表すことにします。

そして、 新しい斜交直線座標系の局所基底
を考え、 次の式が成り立つと仮定します。 今やろうとしていることは、 量場的ベクトル
の反変基底表示( 共変ベクトル表示 )を求めることです。

すると、

ですので、 上式が常に成り立つためには、 次の条件が満たされていなければなりません。

同様にして、

ですので、 上式が常に成り立つためには、 次の条件が満たされていなければなりません。

同様にして、

ですので、 上式が常に成り立つためには、 次の条件が満たされていなければなりません。

結局、 次の式が成り立つことがわかります。

これは、「 双対基底条件」になっています。 したがって、 基底
と 基底
とは、 双対基底であることがわかりました。 それは当然です、 そうなるように仮定したのですから。
したがって、 量場的ベクトル
の反変基底表示( 共変ベクトル表示 )は次のように表わされることがわかりました。

また、 共変基底が生成するベクトル空間の「 計量テンソル 」の表現行列を次のように表すと、

双対ベクトル空間への座標変換については、
より、 次の3つの式が成り立ちます。


また、 量場的ベクトル
の大きさは次のようになります。

次のような条件を満たす新しい基底
が生成するベクトル空間へ、 量場的ベクトル
を座標変換してみましょう。
は基底変換テンソルです。 このとき、 座標変換テンソル
の表現行列は次のようになります。

量場的ベクトル
の「 共変基底
が生成するベクトル空間での反変ベクトル表示 」から「 共変基底
が生成するベクトル空間での反変ベクトル表示 」への変換は、 次のようになります。


したがって、 次の式が成り立ちます、

これが、「 反変ベクトル表示の座標変換式 」です。 ベクトルの座標変換式と言えば、 普通は、 反変ベクトル表示の座標変換式のことを言います。
次に、 新しい座標系での量場的ベクトル
の共変ベクトル表示を求めてみましょう。


同様にして、 次の式たちを得ることができます。

このようにして得られた3つの式をまとめると、 次のようになります。


これが、 新しい座標系での量場的ベクトル
の共変ベクトル表示です。 これは、 座標変換前の共変ベクトルを用いて表されています。 ということは、 これが、「 共変ベクトル表示の座標変換式 」であるということです。
(2) 斜交座標系における、 量場的ベクトルの座標変換のまとめ
まず1番目に、 双対空間どうしでの量場的ベクトルの座標変換についてまとめておきます。
反変ベクトル成分と共変ベクトル成分とを、 次のように表すことにします。

共変基底からその双対基底である反変基底への基底変換テンソル( 双対テンソル )
の表現行列を次のように置きます。

すると、 共変基底表示( 反変ベクトル成分表示 )から反変基底表示( 共変ベクトル表示 )への座標変換テンソル
の表現行列は、 双対テンソル
の表現行列の逆行列になり、 それを次のように表すことにします。

また、 共変基底が生成するベクトル空間の計量テンソル
の表現行列を次のように置きます。

これは、 次のように1行で書くことができます。
さらに、 計量テンソル
の表現行列の逆行列を次のように表すことにします。

これは、 次のように1行で書くことができます。

共変基底が生成するベクトル空間の計量テンソル
は、 共変基底表示( 反変ベクトル表示 )から反変基底表示( 共変ベクトル表示 )への座標変換テンソル
に等しいので、 反変ベクトル表示から共変ベクトル表示への変換式は次のようになります。

これは、 次のように書くことができます。 反変ベクトル表示から共変ベクトル表示への変換式です。

この逆の、 共変ベクトル表示から反変ベクトル表示への変換式は次のようになります。

これは、 次のように書くことができます。 共変ベクトル表示から反変ベクトル表示への変換式です。

また、 これは、 双対テンソル
を用いて、 次のようにも書くことができます。

2番目に、 双対ベクトル空間以外の2つのベクトル空間での量場的ベクトルの座標変換についてまとめてみます。
次のような基底変換があるとします。

反変ベクトル表示の座標変換式 :


これは、 次のように書くことができます。 反変ベクトル表示の座標変換式です。

共変ベクトル表示の座標変換式 :


これは、 次のように書くことができます。 共変ベクトル表示の座標変換式です。

,
は、 関数( 演算子 ) です。
が演算子として作用する対象は、 基底( 基底はベクトリオです )であり、
が演算子として作用する対象は、 ベクトル( ベクトルはベクトリオに含まれます )です。
は
として振る舞い、 反変ベクトル表示に作用して、 共変ベクトル表示を取り出します。 また、
は
として振る舞い、 共変ベクトル表示に作用して、 反変ベクトル表示を取り出します。
の表現行列 と
の表現行列は、 逆行列の関係です。
ベクトルの座標変換 や ベクトルの写像 を担う演算子としてのテンソルのことを、 私は「 空間的テンソル 」と言っています。 そして、
のような空間的テンソルのことを「 空間的共変テンソル 」と言い、
のような空間的テンソルのことを「 空間的反変テンソル 」と言っています。 また、 反変ベクトル表示のベクトルに作用して反変ベクトル表示のベクトルを得たり、 共変ベクトル表示のベクトルに作用して共変ベクトル表示のベクトルを得たりする空間的テンソルのことを「 空間的混合テンソル 」と言っています。
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